滞納家賃の回収

滞納家賃のトラブルの先延ばしは、問題の解決を困難にします。
トラブル解決の鍵は、初期対応にあります。滞納者側にも、何かしらの事情や経緯があると考えられますので、滞納が発生した時点で滞納者の事情等を考慮した上で回収手段を見極めることが重要です。
月々の家賃によっては滞納額が1~2ヶ月分程度であれば、滞納者と任意に話合い、滞納金の支払方法等を決め、回収することも可能かもしれません。
しかし、滞納額が数ヶ月分におよび高額になりますと、対応方法も建物明渡請求訴訟を踏まえ検討しなければなりません。
また、悪質な滞納者や高額滞納者へ対しては、裁判を起こすなどの断固とした対応をとることが大切です。

回収方法

交渉

滞納金の支払い方法(一括・分割)について、滞納者や保証人と直接話し合い、話し合いがまとまれば、書面を取り交します。金額が高額で長期分割になる場合などは、公正証書を作成しておくと、話合いの後の延滞時に訴訟を提起することなく強制執行(差し押さえ)を行うことが可能です。

保証人・連帯保証人からの回収

滞納者自身に支払いが困難であれば、契約時の保証人等へ請求を行います。

内容証明郵便による督促

滞納者が話し合いに応じない場合、内容証明郵便は、特殊な郵便であるため、滞納者の心理的プレッシャーを与えることが期待できます。
滞納者が話し合いに応じた場合、延滞金に支払方法についての、和解交渉を行います。

法的な回収方法

1. 通常訴訟

滞納額が140万円以下の場合は、簡易裁判所に訴訟を申立ることが可能です。
簡易裁判所の訴訟代理権を有する司法書士であれば、第1審の訴訟手続を全て代理で行うことが可能です。
訴訟提起後に、滞納者が交渉に応じ和解に至った場合、裁判所に上申し、和解に代わる決定を得ることができます。これは、確定判決と同様の効力をもちますので、万が一滞納者が再度滞納した場合、すぐに強制執行手続きを行うことができます。
訴訟提起後に和解に至らない場合は、判決の言渡しとなります。

金額が大きい場合や他の法的問題が関連している場合に有効です。

滞納者が争ってくると、解決までに時間がかかることが考えられます。

2. 支払督促

支払督促は、簡易裁判所へ申立を行います。通常の訴訟手続と比べると、申立に必要な印紙代が半分で済み、請求額に上限がありません。
裁判所を通す手続きとなりますので、内容証明郵便よりも強いプレッシャーを与える効果が期待できます。

申立手数料が通常訴訟の半分で済む。請求金額に上限がありません。

滞納者より異議を申し立てられると、通常訴訟に移行することになり、
解決までに、当初より通常訴訟を提起する場合に比べると、解決までに時間がかかります。

3. 少額訴訟

滞納額が60万円以下の場合は、簡易裁判所に少額訴訟を申立てることが可能です。
少額訴訟は、滞納者が裁判に欠席した場合であっても、原則1回の期日だけで判決を得ることができます。
訴訟提起後に、滞納者が交渉に応じ和解に至った場合、裁判所に上申し和解に代わる決定を得ることができます。これは、確定判決と同様の効力をもちますので、万が一滞納者が再度滞納した場合にすぐに強制執行手続きを行うことができます。
裁判の行われる日に滞納者が出頭した場合に、請求金額の全額を認める判決をしたとしても、滞納者の経済的事情を考慮すると、支払いの実効性が低い場合が考えられることから、裁判所から和解を勧告される場合もあります。

審理は原則として1回のみとなるので、和解による解決の場合でも判決を得た場合であっても、裁判所を介し、迅速な解決が進められます。

滞納者が、通常訴訟への移行を選択することができます。

滞納家賃回収の流れ

ご依頼・ご相談

司法書士が、滞納額や滞納月数、督促状況等の状況をお聞きします。ご相談の際に、賃貸借契約書、滞納状況が把握できる書類、固定資産評価証明書を用意して頂きますと、より具体的なご相談が可能です。


滞納者へ対して、内容証明郵便の送付

司法書士が法的な観点から内容証明郵便を作成し、滞納者へ任意による支払を促します。


支払交渉

内容証明郵便を送付し、滞納者が任意交渉に応じるようであれば、滞納金の支払いに関する交渉を行い、合意できれば即決和解等を行います。

※既に滞納額が高額であったり、依頼までの経緯を考慮した上で、交渉の余地が無いような事案に関しては、すぐに訴訟を提起する場合もあります。また、悪質な滞納者へ対しては、建物明渡訴訟を起こし、物件から退去してもらうことも考えなければなりません。


法的手続きへ着手

任意による支払交渉に応じない場合は、支払督促の申立てや少額訴訟・通常の民事訴訟を提起します。
法的手続きに移行後、滞納者と支払に関する交渉を行うことができ、合意できれば裁判上の和解等をします。


債務名義の取得(判決等)

法的手続に移行後も滞納者が和解に応じることがなく、訴訟手続が進行すると判決に至ることになります。
判決の言渡し後、判決文を受け取ってから2週間、異議の申立てがなければ判決が確定し、強制執行手続を行うことが可能となります。


強制執行(差押え)

預金の差押、給与等の差押を行ないます。全額の回収までには、数回手続きを行う場合もあります。

必要書類

  • 賃貸借契約書
  • 督促状等
  • 不動産登記事項証明書
  • 家賃の支払状況が分かる書面

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